原発は危険だったという恐怖はリアリズム

福島第1原発の1号機は、あの地震発生から4時間あとくらいには、原子炉の燃料棒が冷却水から露出して損傷がはじまっていたといまさらのニュース。地震電源喪失してから非常用復水器で冷却していたものの、30分後の津波によってポンプが故障して冷却機能が復旧不可能に。この後たった3時間半ぽっきりで放射能汚染へとつながる事態が始まってしまっていたのだ。


どのくらい早く「ベント」や「海水注入」をしたらよかったのかという議論があるけど、もちろん地震発生後4時間よりまえにやらなきゃならなかったはず。東電社長は国会での質疑で、「住民の避難を確認したりせねばならない」などいろいろ理由を、あげては「ベント」や「海水注入」の遅れはなかったと主張しては、支援金をひきだそうといる?けど、実際にベントや真水注入したのは翌日になってからです。遅すぎですよ! つまりたった3時間半ぽっきりの間に「ベント」しなきゃいけない事態におちいったら最後、そこでジ・エンドだったっていう認識でオーケーですか?


ポンプで水を循環できなくなると、温度があがって冷却水が水蒸気になる。原子炉や格納容器の圧力がとんでもなくあがって壊れてしまう。だから圧力を下げるために「ベント」をおこなうのだという。原子炉の冷却水がなくなり、空だきになれば燃料からは大量の放射能が気体となってもれだし、またその過程で水素も発生するのだとか。これが建屋とか格納容器で酸素と反応すると爆発して、放射能をばらまいてしまう。空だきのまま高温の燃料が落ちれば原子炉を溶かし、そのまま格納容器の水に落下して、水蒸気爆発することも。今回は水蒸気爆発はさけられたとはいえ、2号機で格納容器内で水素爆発がおこっていて、すでにチェルノブイリ原発事故の10分の1程度の放射能を大気中にばらまいているのだ。


たった3時間半ぽっきりの間に、水位をもどしてふたたびポンプで循環させないかぎり、この一連の流れはとめられないように思うんだけど。「ベント」「水の注水」以外で、対策ってなにかないんだろうか? 打つ手がないにもかかわらず、ずいぶん津波地震の想定をかるく見すぎていなかっただろうか。このままいつ爆発して放射能汚染するかもしれない爆弾を抱え込んだまま、おびえながら暮すしかないのだろうか? この国は放射能汚染から逃げるところがないくらい国土が狭いんだよ。


地震津波も日常茶飯事だといっていいこの日本で、地震で配管が壊れて冷却水が漏れたりと、なんらかの理由でたった3時間半ぽっきり冷却装置がとまるということは、ありえないことではないというか、ずいぶんありそうな気がするんだけど、政府がその辺を無視したまま「安全」というのは、まんまとまされた気分がします。プンプンッ! しかも事故がおこったときのツケは、税金や電気料金として国民がはらうことになるんだから、いったいダレのための原発なんだよ。トラブル隠しなんてせこいことやっていないで、しっかり安全対策のためにお金をつんでくださいよ! 電気料金は国際比較して高いっていうじゃないですか、どうなってんだこりゃ。
 

政府はこのことを知っていて「安全」といっていたのだろうか。じつはよく知らないまま「安全」と思い込んで、いつ爆発してもおかしくない原発を54基もせっせとつくってきたのだろうか。ホラーとしかいいようのない現実に、ボー然としてしまうですよ!