ゼロ年代ファンタジー。セカイ系、ゲーム、アメコミCG。。

昔の映画とかテレビドラマをみると、やっぱテンポがだらだらしているなー、と思う。それというのも、編集技術がまだ発達していなかったというか、今みたいに細かくカメラや、カットを切り替えたり、テロップつけたりとか、弄くるのは、昔の技術では大変だったからだろうけど、こういうものだと思えば、昔のものでもそれなりに楽しめる。カットをきらずに、長まわししているどうしても、予測しなかったものが映り込んだりする。また、出演者のNGもあったりする。そういうのを逆手にとって、作品のおもしろさにしてしまうとか、むかしは作り手がコントロールしがたいところをも利用してしまう、みたいな柔軟さがあった、そこに想像力をかきたてる部分とか、なにが起こるかわからないという楽しさがあった、、気がするけどどうだろう。今見るとそういうところが、かえって楽しい。


というところを考えると、最近の急激なパソコンの性能UPとともに、CGも多様されるようになったり、作り手が編集することで思いのままにコントロールができるようになった、そういうつくりの番組が増えた。これがゼロ年代の特徴ではないかなと思ってみたりする。いわゆる、これが「ゼロ年代ファンタジー」と呼んでいるものの正体かもしれない(おいらが個人的に提唱)。


90年代は、ニュースやスポーツ中継などが視聴率をとる番組として注目された一方、ゼロ年代はバラエティやお笑い番組とか、編集技術でもっていじくりまわして、おいしいところだけを、うまく見せるという手法の番組が増えた、という気がする。メディアミックスということもあって、漫画が原作のテレビドラマ、映画がたくさんつくられるようになったり、ハリウッド映画にしてもアメコミヒーローものをはじめとして、かつて不可能だった演出もCGでもってどんどん可能となったし、「マトリックス」にしたって1999年だけど、ゼロ年代ファンタジーのさきがけっぽい。「ロード・オブ・ザ・リング」は、「ゲーム世代のファンタジー映画」という評をされた。スパイダーマンをはじめとして、バットマン、XMEN、スーパーマン、、、アメコミ原作の映画が多かった。さらにハリーポッターシリーズのヒット。。考えるとより一層「ゼロ年代はファンタジー」だなー、という印象がつよくなるなー。


ネットでよく話題に上がる「テレビがつまらなくなった」ということも、本当につまらなくなったか?は、さておきその原因は、この「ゼロ年代ファンタジー」にあるのではないか。「つまらなくなった」と思う人たちは、それ以前のテレビを知っている年齢層、ということになる。人口集団として団塊ジュニア層が多いし、インターネット世代といわれるのもこの世代で、ネットにはいわゆる「90年代リアリズム」にどっぷり浸かった世代が多いことになる。とすれば、「ゼロ年代ファンタジー」にちょっと抵抗があるというのも想像できる。物心ついたころにゼロ年代だった、若者たちはこれが当たり前と思って、楽しんでみているかもしれない。「つまらなくなった」ということは、鵜呑みにはできない。もちろんテレビのスポンサー収入がおちこんでいるとか、製作費けずられているなどの業界的な事情もあるだろうけど、ただ視聴者が年とって好みがあわなくなったってことも? 考えられる。


さらに「ゼロ年代ファンタジー」には、人文系やサブカルでよくつかわれていた、セカイ系というキーワードも気になる。

文脈とかよっても意味がちょっと変わってきたりして、よくわからない用語だったりするけど、これもゼロ年代ファンタジーを象徴しているかなと思う。セカイ系は、「主人公の個人的な内面のごく小さな問題と、世界の存亡といったスケールの大きな問題がむすびついている」というような特徴があるとか。エヴァンゲリオンがよく例にあげられる。エヴァンゲリオンは簡単に言って「人類補完」という人類が滅亡するストーリーだった。主人公である少年・シンジ君の内面が、人類の命運を決定付けることになるという、あまりにも有名な結末。これがいわゆるセカイ系の元祖で、また代表例としてよくあげられている。


ただ、それまでも世界が滅ぶかとどうかテーマにした作品はけっこうあったわけで、主人公が決定するような力をもっていることよりも、たいした段階も踏まずに世界の命運へと、飛躍するというというところに特徴があるだろう。かつてジャンプ連載していた「ドラゴンボール」にしても、天下一武道会→ピッコロ大魔王→サイヤ人、と、安易に話のスケールがどんどんでかくなっていったりした。RPGゲームで世界を救うといったシナリオが多かったり、世紀末ブームというところで、世界が滅ぶかどうかということをテーマにした作品が多かった。


これらの作品とか時代の影響をもとに作られた漫画やライトノベルが、その飛躍をあたりまえのように取り入れるようになり、ゼロ年代セカイ系という言葉でくくられるようになったんではないかな。「涼宮ハルヒの・・」はただの学園コメディとおもいきや、主人公ハルヒに無意識のうちに、世界を思いのままに変える能力があり、それを阻止するという未来人、超能力者、との物語、、、という突飛な設定。ライトノベルというジャンルをよくしらずにアニメを見ると、無茶な設定だなと感じるんではないかという気がする。セカイ系的といっていいかと思う。ライトノベルにはよくありがちな設定だという。SFが冬の時代といわれて、久しかったりするけど、科学的な知識の裏づけとかをかなり省略したSF、いってしまえばライトSFというような作品が多い。これらも、セカイ系とよんでしまえる気する。


ってな感じで、「ゼロ年代ファンタジー」としてくくってしまえるかな。と思う。ゼロ年代も残すところわずかですが、年代的にはつぎはどんな時代になるんだろうか。ニュースとかでは金融バブル崩壊でもって、テレビ見るのもしんどいくらい不景気なニュース一色になってます。10年周期的には、やっぱ「リアリズム」、、、だろうか?