90年代はアニメ冬の時代じゃないの?! だって90年代はリアリズムでしょ。

はてぶで「90年代ってアニメ全盛期だったよな」なんていうエントリがあがってて、ちょいとビックルしました。ていうか、もうビックルってつかわないのか?

あれ? アニメ冬の時代だったよな? 90年代はリアリズムが主流なって、かつてのアニメらしい表現が下火になっていったり。「エヴァンゲリオン」のように、かつてのロボットものSFファンタジーにも、リアリズムの手法がとりいれられたり。それでもリアリズムの波には勝てなくて、テレビでの番組枠そのものが減っていったりしなかった? 本来、アニメといえばファンタジーというイメージがあるのに、リアリズムの手法を取り入れなければならない状況って、どういうことだろう? クリエーターの方としてはファンタジーでは、表現するものに限界があったってことだろうし、視聴者ももはやファンタジーを求めなくなっていたってことじゃないか。で、90年代が「アニメ全盛期」ってどういうこと? アニメ冬は下記のようなところで、書かれている。

ここでオイラが言っている、リアリズムとはヒトの物語。ファンタジーとはカミの物語だ。カミといっても、「神」ではなくて人間ではない超人的な存在のことだから、悪魔とか死神みたいなのを含む。また、ヒトの物語というのは、人間のドラマのことでものあるから、登場人物の内面を描写したりとか、読み手であるワレワレ人間に近い世界を描写する、つまり現実に近いという意味でリアリズムだ。そういう風に呼ぶことにする。ちなみにファンタジーは、いろいろな意味でつかわれているので、自分でも混乱しやすい。ファンタジーは、「虚構」とか、「幻想」「幻想文学」とか、「夢物語」とか、、、いろんなニュアンスでつかわれるけど、リアリズムとの対比で使うときは、上記のように定義しておきたい。


「90年代はリアリズムが主流だった」というのも上記のような意味でとらえてもらいたい。オイラからすれば、90年代は「リアリズムの時代」だったからこそ「アニメ冬の時代」だったということになっている。90年代以降は、子供の人口が減ったというのが大きいけど、時代の空気もファンタジーを求めなかったんでは?、それを「90年代リアリズム」と呼んでしまっていいのではないか、と思っている。アニメ以外にも、いろんなジャンルでリアリズムらしきものは見られる(と勝手に思っている)。80年代アイドル歌謡曲+洋楽R&Bが全盛だったのが、90年代には自己表現バンドもの、JPOPに置き換わるとか、テレビドラマもトレンディドラマから、社会派・シリアスドラマになるとか。ヤンキー・スポーツものの少年マガジンが、ファンタジーものの少年ジャンプを部数でうわまわるとか。。。。だから「90年代はアニメ全盛期」というのはちょっと聞き捨てならないものがあるのだ。


。で、話をもとに戻して、ちょっと調べたらこんな新聞記事の切り抜きがアップされてる。

アニメの視聴率が70年代後半から80年代がピークだったというようなことが描かれている。いまでも「サザエさん」「ちびまるこちゃん」の視聴率はすごいけど、当時は平均的に視聴率をとっていたということだろう。90年代はそれが下がったから、アニメ冬の時代といわれる。その文脈でとらえれば、毎日深夜アニメが垂れ流される、いわゆるノイタミナが定着した最近も、アニメ冬は変わらずということになるし、そういう内容の新聞記事になっている。あれれ、視聴率が高い=全盛期という捕らえ方にも限界があるか? キャラグッズやDVDの売り上げを前提とした今とそうでない昔とは、ビジネスモデルもちがうらしいし。


となると、視聴率は下がったり、番組枠も減ったけど、おいらが知らないところで「全盛期」ってあったんでは? 「アニメ冬の時代」も、それをもたらした「リアリズムという時代の空気」はなかったのかな? という気もしてくる。いやそうではないよな。90年代は「リアリズム」の影響で、やや大人向けで、アニメにもリアリズムの手法を取り入れた作品が、増えていったけど、それが必ずしも「アニメ冬」だったからではないんだよな。大人向けアニメとか、リアリズム系アニメとしては、むしろ「アニメ春の時代の幕開け」ということになるのか? そういった作品に思い入れがある視聴者が、「全盛期」と呼んでしまいたくなる気持ちもわかるし、考えて見れば自分の好きな作品があった時代は、いつだって全盛期だと感じるものだよなー。


という、なんてことのない結論になってしまった。その流れでいくと、アニメにおけるゼロ年代ファンタジーはどうなっているのかね。あるのかね、ないのかね。キャラの内面とかシリアスなドラマよりも、CGつかいまくりな演出とか「萌え」至上主義みたいなところとかなんだろうか。いずれもうちょっと突っ込んで考えるという次の課題にしたい。ちなみに、セカイ系というのは「ゼロ年代の想像力」という本によれば、90年代的というようなことが書かれているらしい。「セカイ系」はオイラからするとファンタジーっぽい響きがあるので、ゼロ年代かなと思ったけど、、、この辺の考察についてもまた次の課題にしたい。