90年代リアリズム。ゴシップとマイケルさん。

キング・オブ・ポップとしてのマイケルさんは、90年代にはすっかり過去の人となりかかっていたが、そのかわりゴシップ誌をにぎわせてくれるようになる。リアルな存在としてメディアをにぎわせてくることになった。80年代ファンタジーから90年代リアリズムというのと重なる。


90年代がリアリズムだったという印象があるのは、原因のひとつにはテレビが週刊誌やスポーツ新聞のようなゴシップメディアと化してしまったことだ。90年代はやたらと、著名人のプライバシーを書きたてたゴシップやスキャンダルといった報道が目立った気がする。テレビにとっては視聴率をかせぐいいネタでしかないのだろう。こういった状況は海外でも似たようなものだったようだ。ゴシップ記事をあつかった報道で、かつての輝いていたポップスターを、ただのおかしな人へと引きずり下ろしてしまうのはたやすいことだった。とくにマイケルさんの場合、自宅ネバーランド、負債、結婚や離婚、代理母出産、やけどを負った頭髪、整形の回数や、肌の色などなどゴシップの話題にことかかなかった。


93年に性的虐待疑惑で訴えられた1度目の裁判がある。マイケルさんは示談金をはらって解決してはいるものの、後になってわかることだが、事件は訴えた側の作り話だった。なぜ示談金をはらったのかについては、トラブルを早く終わらせたかったからとか、示談金はマイケル側からではなく、保険会社の支払いだったから、などと推測されている。訴えた側はといえば、示談金を受け取ると、実際に事件そのものがあったかを追求するはずの刑事事件での訴えを取り下げてしまう。はじめからお金が目当てだったのだ。後になって、訴えをおこした側の弁護士の秘書が、詐欺目的だったことを告白している。本としても出版されてもいる。テレビではいまだ、この事件のことを、示談金を払ったからあやしい、というシロート発言をするコメンテーターばかりだ。ネットでちょっと調べりゃわかることだろう。マイケルさんはトラブルに巻き込まれたこの時の苛立ちを”SCREAM”、として歌っている。あのマイケルさんが自己表現的な曲というのがいかにも90年代だ。


00年代になって、ゴシップ記者のマーティン・バシールがこれはイケるかもしれないと、事件に目をつけた。バシールが「マイケルジャクソンの真実」という番組を企画し、マイケルさんが性的虐待をしていたのではないかとの疑惑の目を向けたことで、マイケルのイメージを決定的なものにしてしまう。さらに、この放送の後に、番組に映っていた少年への性的虐待の容疑がかけられ、2度目の裁判が起こされることになる。裁判では10件での容疑がかけられ、逮捕拘留、家宅捜査によって徹底的に調べ上げたにもかかわらず、すべての件でマイケルさんの無罪という結果、児童性愛をしめすような証拠すら見つからなかった。訴えた側は子供をダシにした同じような手口で、繰り返し裁判をおこしている常習犯だったことがわかっている。別件の社会福祉詐欺で捕まったそうだ。


どちらの事件についても無罪だったことがわかった、とはいうものの、あれだけ騒がれておいて、まったくの白はありえないだろう、というマイナスイメージだけがのこってしまっている気がする。ネットで調べるまで、オイラもそう思ってました。というのもテレビは、ゴシップ記事を元にコメントするだけで、ネットでちょっと調べればわかるような裁判の真相をつたえることなく、かつて性的虐待の容疑で訴えられていた、ということだけを繰り返し放送しているから。そんなの誰だって洗脳されるだろう。そんなもの報道でもない、ゴシップ以下だろ。


ちなみに「マイケルジャクソンの真実」という番組をつくったマーティン・バシールは、イギリス王室のスキャンダルをとりあげたことで、ゴシップ界隈では有名。それ以降というもの故ダイアナ妃はパパラッチに執拗に追い掛け回されるようになり、パパラッチを振り切るための事故死という、こちらも悲劇的な結末になった。リアルでは詐欺師とゴシップの餌食になっている。これが90年代リアリズムが描き出したスターの本当の姿だった。



以下、参考にしたリンクをあげる。


*1ネバーランドって売却されたんでは? あそこに埋葬っていう記事があったりして、おかしい。。。などなど、ネットでしらべているうちに、話が矛盾してたりしておかしいなー、ということがたくさん出てくる。さらに調べていると、海外のゴシップ誌のデマがいかにひどいかがわかってきた。日本のテレビ、新聞、雑誌はその情報をニュース元にしていたりするので、これもひどいデマだらけ。デーブ・スペクターにいたっては確信犯か? デマとしっていて、あえてデマを流しているフシがある。とにかくひどい。以下、参考になるリンクをあげる。世の中、何を信じたらいいのかわからない状態。

*1:追記